
日本大学理工学部 土木工学科のカリキュラム
多方面で活躍できる技術者の育成を目標にしています。
カリキュラム
学習教育の目標
日本大学理工学部土木工学科は、わが国の私立大学の中で最も歴史のある土木系学科です。したがって、本学科の教育プログラムはこうした歴史と伝統を尊重しつつ、現代土木工学の基礎を幅広く学ぶとともに進路に適した応用能力を磨き、実社会で多方面に活躍できる技術者を育成できるように構成されています。
具体的な学習教育の目標を整理してみますと、以下のようになります。
- (A)心身ともに健全な文化人を育成する
- 日本大学の教育の理念を定めている学則では、第1条に「日本大学は、日本精神にもとづき、道統をたっとび、憲章に従い、自主創造の気風をやしない、文化の進展をはかり、世界の平和と人類の福祉とに寄与することを目的とする」とうたい、第2条で具体的に「本大学は、広く知識を世界にもとめて、深遠な学術を研究し、心身ともに健全な文化人を育成することを使命とする」とうたっています。 土木技術は人類のため、社会のため、地球のためのものです。したがって、土木技術者には「幅広い教養に裏打ちされた人間・社会・自然に対する鋭い感性」と「高い倫理観を備えた確かな技術力」が求められます。こうした素養を身に付けるために法学、経済学、倫理、生態学、地球環境科学などの総合教育科目が用意されており、こうした学科目を受講することで多面的に物事を考える能力と素養を磨くとともに技術者としての倫理観が養われることを期待しています。
- (B)土木のどの分野でも必要な素養(基礎能力)を身につけた土木技術者を育成する
- 土木技術者は社会では実に様々な仕事を行っています。したがって、大学ではどの分野に行っても必要である技術の基礎をしっかりと学んでおくことが必要です。土木工学科ではこうした基礎能力を身につける学科目を、特に1、2年次を中心に設置しています。いわば、1、2年次は学科共通の基礎教育段階であり、この時期には数学・工学基礎系の学科目や土木技術のコミュニケーションの手段であるコンピュータや製図の基礎を学びます。幅広い工学の基礎知識を身に付けその応用の能力を磨いておくこと、そして自分の考えを表現し相手に伝える基礎能力を身に付けること、こうした基礎的な素養が将来の「自ら考え行動する技術者」の素地となります。
- (C)進路に、より適した素養(応用能力)を身につけた土木技術者を育成する
- 次節で詳しく紹介しますが、本学科では将来の進路を意識したコース制を3年次から実施しています。土木工学の分野は幅広いため、全ての分野の内容を奥深く学んでゆくためには大変多くの時間と努力を必要とします。そこで、実社会に出てからの進路を意識することで体系だった学習に努め、自己の進路により適応した素養を身につけることができるように工夫したものです。 3年次に設置されているプロジェクトスタディでは各コースに応じた課題を用意しており、加えて少人数で行うゼミナール、卒業研究などを通じて自主的継続的に学習できる能力を身につけるとともに、物事の解決に向けて論理を構築できる能力、実際に土木工学を生かした施設計画・設計ができる能力、自分の考えを的確に相手に伝える能力、そして最終的には与えられた制約のもとで仕事を進めまとめる能力を磨くことができると考えています。
- (D)伝統を引き継ぎ、実社会で多方面に活躍する実践的土木技術者を育成する
- 繰り返しますが、本学科の最大の特徴は「歴史と伝統」「卒業生の厚み」であります。私学土木の先駆けとしてこれまでわが国の土木の世界を大きく支えてきたことは誰もが認めるところです。結果として全国の都道府県庁には必ず校友がいますし、建設会社からわが校友を除いたら土木工事は進行しません。このような実績は他の私立大学には見られないもので、本学科の最大の特色です。したがって、教育プログラム上もこうした諸先輩の実社会での活躍を反映する機会を数多く設けています。例えば、各学年に特別講義が設置されており、その多くは実務で活躍する先輩を様々な分野からお招きして実践的な土木技術論を聞かせていただくものです。具体的な体験に基づいて技術者倫理の問題を問い掛けたり、問題解決に必要な論理構築の能力やコミュニケーションの能力をどのように継続的に養成しているのかを教えていただいたり、学ぶべきものは沢山あります。また、設計に関する学科目やマネジメントに関する学科目でも社会で活躍している方を非常勤講師としてお招きしています。加えて、こうした先輩の努力を深く認識させるため一年次に土木史の授業を設置するとともに、基礎ゼミナール、ゼミナール等を通じてできるだけ先輩の話に接する機会を増やしています。